それだけは止めて〜!ニャンコ様に躾は可能なのか?

犬と違って猫には躾はできないというのが一般的な見解のようです。確かに猫を見ていると、人の命令に従う気がないというか、その意味すら知らんといった雰囲気があります。昔から、猫には呼べば逃げるという習性があるというのはよく言われていることですよね。これだけでも、古今東西、猫がいかに人間の言うことを聞かないかというのがよく分かるというものです。

唯一、猫で躾がうまくいくとしたらトイレトレーニングかもしれません。犬と比べると、猫のトイレの失敗は非常に稀で、場合によっては人間のトイレの利用まで出来るようになるんですから凄いですよね。ただしこれも、猫の元々ある性質に、たまたまトイレの躾がピッタリ合っているだけのことでしょう。

一方でトイレの躾では失敗することも多い犬の方は、使役犬としての歴史も長いだけに、愛玩犬であっても実に楽しげに飼主の命令に従いますよね。おやつにつられているだけとも言えるのですが、それ以上に生き生きとして見えるのは、やはり犬が飼主の期待に応えることを、心から楽しんでいるからでしょう。

一方で猫はどうでしょうか。私も長年猫と生活していますが、猫が命令に従っている姿は記憶にありません。呼ぶと逃げるし呼んでもいないのに来るし。それどころか、猫と暮らしている多くの人が「なんだか飼主である自分の方が、猫の下僕のような気がする」と感じています。

その証拠に、猫オーナー同士の「あるある」として「猫が向こうから近づいて来たら秋だなと思う」というのがあります。暑い間はいくら呼んだって来ませんが、寒くなると温かいお腹や膝に乗りたいので向こうから寄って来るんです。そーっと近づいて来てクールな顔で乗っかってきますが、その時にはまるで自分がクッションか座布団になったかのような気分になります。

またもっと寒くなってくると、猫は寝ている布団に入りたがるようになります。犬ならば勝手にどんどん布団に潜ってくるのですが、猫は何故か「布団を持ち上げろ」と合図してきます。寒いのを我慢して布団を開けてやると、胡散臭そうにじーっと眺めてからゆっくり入って行きます。しかも3回に1回は、何が気に入らないのか「やっぱりやめとく」とそのまま去って行きます。その空しさったら!

爪研ぎなどやってほしくないことがあって叱っても、猫は余り気にしていないようです。ただし禁止されていることは分かるので、その時はさっと止めて逃げてしまいますが、また後でやろうと思っているに違いありません。家でも「それだけは止めて〜!」と言ったこともありましたが(心の中で)、壁やソファはいつの間にかボロボロになっています。ソファは安物にして、定期的に買い替えるようにしたと言っている方もいます。

万事この調子ですから、猫に躾けをしようと思ってもまず無理でしょう。というか、猫と暮らしていると猫を躾けようという発想自体がなくなります。何か困った行動があっても、人間が工夫をして被害を防ぐことで解決するというのが、猫との生活では当たり前なんです。それにしてもこれでは、やはり人間の方が猫に躾けられているという気にもなってきますね。それでも構わないと思ってしまうのは、やはり猫の魔力のなせる技なんでしょうか?