猫を閉じ込めるなんて可哀想?完全室内飼いの意味って?

昔から猫は犬のように鎖に繋がれることもなく、家と外を自由に行き来しているというのが一般的な飼い方でした。当時は鼠の害の対策として飼われていることが多かったのも、放し飼いにされていた理由のひとつでしょう。猫はこれまでの歴史の中では、ずっと半分野良のような気ままな生活が普通だったのです。

しかしその分、危険な目に遭うことも少なくありませんでした。自由に近所を行き来していたため、例えばよその家の台所で盗み食いとか、ご近所の花壇でトイレなんてこともよくあったのです。その結果特定の人に憎まれて虐められたりすることもありました。

これは半分外半分家で猫を飼っていれば、今でも当然起こることですよね。時間を決めて猫を外に出す飼い方をしている方は、まだ数多いのではないでしょうか。たとえご近所との関係がうまくいっているとしても、猫同士の喧嘩や自動車事故は、今も昔と状況は変わりません。外の世界は、猫にとっては今も昔も命に関わるような危険だらけだと言えます。

しかし外には何より新鮮な外気があり、追いかけることのできる鳥や虫もいますし、高い所が大好きな猫にとって、塀や樹木など自然の遊び道具には事欠きません。走ったり登ったり追いかけたりというのが自然である猫たちを、室内に閉じ込めて飼うなんて残酷じゃないかという声が聞かれるというのも事実です。

しかし外だけで生活している猫の寿命は、平均して室内飼いの猫の4分の1以下しかないとも言われています。このことからも、やはり外の生活は、猫にとっていいことばかりという訳にはいかず、やはり必要以上にストレスも多いのだということが想像できます。

また通常雌は1年に数回以上出産することもありますが、雌にとっての出産や育児だけでなく、発情期の雄同士の喧嘩も非常に体力を消耗し、時には命を落とすような事態になることもあるのです。このようにして生まれた仔猫たちも、外では全て無事に育つとは限りません。つまり沢山生まれて沢山死ぬというのが、外猫の自然だとも言えるのです。

一方で完全室内飼いの猫ならばどうでしょう。避妊手術もして出産はおろか発情のストレスとも無縁で、バランスのいい食餌を毎日貰い、安心できる人の側でのんびりと20年近い天寿を全うできることができます。しかしこのどちらがいいのかは、正直なところ猫に聞いてみないと分かりません。猫の意向が分からない以上、室内飼いも人間の勝手な思い込みに過ぎないのだろうかという思いも頭をよぎります。

しかし街中で猫を飼うならば、やはり猫がいくら外が好きだといっても、それだけで飼い方を決めるという訳にもいきませんよね。猫が好き勝手にうろうろすれば、ご近所迷惑にもなってしまうからです。中には猫嫌いや猫アレルギーの方もいますから、猫が憎まれてしまわないためにも、飼主の責任として室内飼いはどうしても必要なことだと言えます。

地域によっては猫が外でものんびり暮らせる場所が、国内外にも数多くあることが知られています。このような場所は、おそらく人間にとっても住みやすいのかもしれませんね。猫好きの目線からも、世界中どこでもこのようになることが理想なのですが、今はそうでない以上、自宅限定でそのような環境を作るのが、とりあえずの最善ということになるのでしょう。