猫の最期を見届ける・避けられない寿命と病気に向き合う

いわゆる野良猫と言われる外だけで生活している猫は、病気にかかったり怪我をする危険性も高く、その寿命は3、4年しかないとも言われています。避妊をしていなければ子供は次々生まれますが、大きくならずに亡くなる子も少なくないでしょう。そのため平均寿命として計算しなおせば、更にもっと低くなるかもしれません。

一方で室内で生活している猫は、長生きすれば20年前後、平均で15年前後の寿命が期待できます。仔猫時代から世話をして大きくした猫も、今度は看病や介護、そして最期の看取りが課題になってくるのです。人間は猫との暮らしで大きな楽しみを味わうこともできますが、同時に猫の一生を見守るという大きな役割があるということも忘れてはなりません。

猫は高齢になっても、外見上は若い頃と変わらず、特に衰えて見えないことも少なくありませんが、一般的には毛艶が失せて痩せて来たりします。歯も歯槽膿漏になったり抜けてしまったりもするので、食べにくそうならば柔らかいフードに変えるといったことも必要になってくるでしょう。

高齢になれば当然病気の機会も増えてきますが、若い猫でも病気になることはあります。予防接種だけでは防げない病気としてはガンや心筋症があり、猫にとても多いのが泌尿器系の病気である腎炎や腎不全です。早い目に投薬して気長に治療することで長生きできることもあるのですが、急速に病気が進行する場合もあるので注意が必要です。

幸いこのような病気にならなくても、10歳を超えると今度は人間と同様認知症の症状が表れる場合があります。病気の猫の看病は飼主にとって非常に辛い経験ですから、認知症になるまで長生きできるのならばまだましではないかとも思えるのですが、経験した方によるとこれもやっぱり辛いそうです。猫の最期を看取るのですから、どんな亡くなり方であっても辛いに決まっていますよね。

認知症の場合、人間と同様に徘徊することもあります。このオーナーさんの場合も、高齢の猫がどこかへ行きたがって夜中に鳴いたりするので、なだめるのが大変だったそうです。これ以外にも様々な異常行動がみられ、食べ過ぎたりその反対に全く食べなかったり、同じ場所でぐるぐる回るなど、飼主さんにとっては見ているだけでも辛い状況になってきます。

死期の近づいた猫は、自分で死に場所を探しに行くのだという話を聞いたことがある方もいるでしょう。完全室内飼いでなく半分外飼いにしていると、実際に具合が悪くなると姿を消してしまう猫がおり、自分の飼い猫なのにどこで亡くなったのか分からないという人も多く見られます。しかしこれは、別に死に場所を探しに行く訳ではないと言われています。

猫は外敵を常に警戒していますので、自分が動けなくなってしまうと身が守れなくて不安になるため、より安全な隠れ場所を探しにいくというのがその理由だそうです。体力がなくなると、これまでのように高い所へジャンプして逃げることもできなくなるので、体調が悪いのをおしてでも外敵の来ない隠れ場所を見つけようとするのでしょう。昔ならば縁の下や薮の中など、他の猫や動物から見つからないような場所で死期を迎えたと考えられます。

しかし室内飼いの猫の場合、自分で安心な場所を探しに行くという訳にはいきません。またお家の中ですっかり安心して暮らしている猫ならば、どこかへ行く必要なんて感じないかもしれませんね。経験者の猫オーナーさんの話を聞くと、一番好きだった人の側へ行って亡くなったという例も少なくありません。室内猫が最終的に人間の側が一番安心できたということは、正に飼主冥利に尽きる話だと言えるでしょう。